大越研究室は高分子の液晶性とキラリティを利用したナノテクノロジーを研究しています。

　本研究室では、高分子における液晶性とキラリティーを利用したナノテクノロジー、およびこれを利用した新規デバイスの創成をテーマに研究を展開しています。高分子は、キラリティーと分子量分布（かたち）を制御して合成する事で多彩な液晶相を形成します。配属された学生諸君には、モデル的な挙動を期待できる高分子を自分で設計、合成して、その構造、物性を評価してもらいます。研究はどちらかというと物性に軸足を置いていますが、新規物質の創成手段である有機合成化学の重要性を深く認識しており、物作りにリアリティーを感じてもらう為にも、自分の評価する化合物は全て自分で合成してもらいます。それは研究者としての私の経験から、「作って」「いじって」「なめてみる」リアリティーが発見→感動の源泉であると信じているからです。それなしに物質科学が皮膚感覚として身に付くことは決して無いと思います。このような物作りの体験は、論理的思考を重ねるための土台となり、将来どのような分野に進もうとも必ず生きてくるはずです。

もうひとつ、私は基礎研究の現場で生じた技術シーズを産業応用に結びつける視点を、産学での研究経験から有していると自負しています。学問的興味に留まらず、社会に還元できる役に立つ出口イメージを必ず研究テーマ―に設定しますので、その研究の意義と価値を理解して、夢を持って研究活動に取り組んでほしいと考えています。

　最後に、大学とは考える事を学ぶ場ではありますが、学問というのはただ思いついたことを行なうものではなく、膨大な専門知識の上に論理的思考を展開させるべきです。プロフェッショナルとしての高いスタンダード（専門知識）を身に付けた、その専門分野を通じ社会に貢献できるエキスパートとして活躍できるよう、専門知識の習得にも努めて下さい。
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