走査型レーザ顕微鏡を利用した表面形状数値評価プログラムの開発

当研究室設置の走査型デジタルレーザ顕微鏡は、共焦点光学系を利用することで、サンプル表面に存在する凹凸形状(3次元形状)の数値的評価(高さ、深さ、幅、表面粗さ、面積、体積など)を行うことができます。この機能の充実を図るとともに、データ転送さえできれば任意のWindowsマシン上での解析を実行可能にする目的で、独自のデータ処理・数値評価プログラムの開発を進めています。これを用いて後述の電気接点表面の損傷形状データの収集・評価を進めることで、現象のさらなる解析に役立てることを目指しています。
走査型レーザ顕微鏡を利用した表面形状数値評価プログラム

共焦点光学系を利用したサンプル表面形状数値評価システムの開発

レーザ顕微鏡でも採用されている共焦点光学系を利用した独自の計測システムの構築を進めています。現在のところ、基本的な構成要素の構築が終了し、システムとしての基本的な動作の確認が出来た段階まで進んでいます。
今後の予定としては、基本数mm程度の段差(凹凸形状)の数値評価への適用を目的としており、電気接点サンプルの評価・解析にあたってレーザ顕微鏡での計測・評価を補完するかたちでの使用を考えています。

電気接点の信頼性向上のための評価技術開発に関する研究

自動車の様々な電装部品(車載電装品)などの制御には、多くのメカニカルリレー、スイッチ類が使用されています。これらは、電源への接続を電極の機械的な開閉で制御するデバイスで、耐環境性やコストの観点から、半導体スイッチと共存して使用されています。これらのデバイスの動作時には、電極の開閉による電流遮断、投入に伴って放電が生じます。この結果として、電極表面における生成物の推積、電極の消耗、突起やクレータの形成などの現象が起こり、リレー、スイッチ類の動作特性に悪影響を及ぼします。このような現象は一般に電極の材料や電気的負荷条件などに依存するので、適切な材料選択が重要になりますが、そのためには、表面状態の変化やそれに伴うデバイスの動作特性を効果的に評価できる手法が必要になります。
以上のような背景から、前述のレーザ顕微鏡や共焦点光学系システムの利用・構築など電気接点の信頼性向上のための新しい評価技術の開発と、それらを活用した電気接点材料の特性評価を進めています。
例えば、電気接点表面に生じる損傷形状の評価は、従来は質量変化などを通じて間接的に行われてきました。これに前述の走査型レーザ顕微鏡を用いることで、表面の3次元形状を視覚的に把握することが可能になりました。また、動作条件に応じた形状の相違を数値的に比較する手法も、提案しています。また、最近では、電気接点動作時にアーク放電が発生する境界を示すと一般的に考えられる「最小アーク電流」という特性について、実験データに基づいて従来とは異なる解釈を提案しています。
ちなみに、電気接点現象の解析への走査型レーザ顕微鏡の適用は、世界に先駆けて当研究室が進めてきました。現在では、他大学の研究でも類似の試みが行われるようになっています。
電気接点の信頼性向上のための評価技術開発
電気接点の信頼性向上のための評価技術開発2

光ファイバ出射光のスペックルパターンのセンシングへの応用可能性に関する研究

光ファイバのスペックルパターン(光ファイバにレーザ光を入射したときの反対端面からの出射光の中に観察される斑点状明暗模様)の特性を調べて、センシングへの利用可能性の検討を進めています。具体的には、光ファイバに外部から振動を与えた場合、光ファイバ設置面を回転させた場合などにおけるスペックルパターンの変動と、外乱(振動や回転量)との相関を調べています。
このときの最大の特徴は、スペックルパターンを画像データとして収集し、画像解析手法を利用したパターン変動の解析を進めている点です(状来の同様の研究では、単に光量の変化のみを解析していました)。
光ファイバ出射光のスペックルパターン

理科実験教材の開発とそれを通した教育効果

小〜高校の授業やさまざまな実験イベントなどでの演示を目的とした理科実験教材の開発を進めています。
例えば、写真に示すので、発光ダイオードとプラスチック光ファイバを用いた波長多重通信実験セットです。赤色LEDと黄色LEDに異なる音楽信号を乗せて同時に1本の光ファイバに入射します。出射光からの信号をスピーカにつなぐと‥‥
興味のある方は、是非、研究室にお越し下さい!
通信実験セット
なお、理科実験教材の開発とそれらを用いた実験演示・実験授業の実施、ならびにそれらを通じた地域教育活性化への貢献、学生教育効果の追求に関しては、本学の学生プロジェクト「理科工房」の活動もご参照下さい。
千歳科学技術大学 理科工房ホームページ http://www.geocities.jp/chitose_rikakobo/