Carbon Materials Science Laboratory


研究内容


主な研究テーマ


1.高分子などの各種素材とナノカーボン材料からの機能性複合材料の作製・評価
 カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンドなどのナノカーボン材料を高分子素材(ポリマー)素材と複合化することで、電気伝導性、熱伝導性、 機械的強度などの特性を付与・向上させることができます。例えば、透明なポリマーとカーボンナノチューブを複合化させると、ポリマーに電気伝導性を与える ことができ、透明な導電性材料として用いることができます。また、カーボンナノチューブは赤外線照射により高効率な発熱を生じるため、温度応答性のポリ マーとカーボンナノチューブを複合化させると、赤外線によって膨張・収縮するような粒子を作製できることも期待され、例えば遠隔操作が可能な機械要素など への応用が期待されます(下図)。また、カーボンナノチューブやナノダイヤモンドは熱伝導性にも優れており、放熱材料や医療関連材料への応用も期待されて います。我々の研究室では、ナノカーボン材料と他の素材を組み合わせることによる新規な機能性複合材料の作製と評価に取り組んでいます。現在進行している テーマおよびこれまでに取り組んだテーマには次のようなものがあります。
 ・温度応答性ハイドロゲルとカーボンナノチューブの複合化による遠隔操作可能な赤外線応答性ゲル粒子の作製
 ・ポリマー膜へのカーボンナノチューブ添加で得られる導電性複合材料での粒子分散状態と電気伝導性との関連
 ・歯科用義歯床レジンへのナノダイヤモンド添加による熱伝導性および審美性への影響
 ・光化学反応を応用したポリマー/カーボンナノチューブ間の化学結合形成法の開発
 ・光化学反応を応用したガラス表面/カーボンナノチューブ間の化学結合形成法の開発



2.異種成分含有/担持カーボン粒子の作製・評価
 活性炭のような各種のカーボン粒子は、吸着材料、電極材料、触媒材料などとして産業的に広く用いられています。カーボン粒子は色々な方法で作製されます が、炭素以外の元素(窒素、ホウ素など)を含む原料の熱分解で得られるカーボン粒子はそれらの元素を含んだ構造のものとなり、炭素のみを含む粒子に比べて 産業上望ましい性質を示すことが知られています。また、カーボン粒子表面を物理的・化学的に修飾することによっても異種成分を添加することができます(下 図)。これらの方法による新規なカーボン材料の作製法を開発し、得られた材料の性質を評価しています。また、未利用資源の素材化の観点から、地域産植物系 原料からのカーボン材料の作製の試みも初めています。現在進行しているテーマおよびこれまでに取り組んだテーマには次のようなものがあります。
 ・窒素含有ポリマーとマグネシウム塩の熱分解・酸処理による窒素ドープメソポーラスカーボン粒子の作製
 ・メソポーラスカーボン表面の表面修飾によるフッ化物イオン、硝酸イオン吸着材料(水質浄化材料)の作製
 ・炭素触媒による水溶液中の有機分子の酸化分解
 ・メソポーラスカーボン表面へのフェライトおよび置換フェライト微粒子の担持による磁気応答性吸着材料の作製
 ・廃棄蕎麦殻からの炭素化物作製


3.グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)の作製と半導体光触媒特性の評価
 カーボン材料の一種であるグラファイト(黒鉛)は炭素原子でできた平面が積層した構造の結晶ですが、これに類似した構造を持つ材料として、3:4の量論比の炭素と窒素から構成されるグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)があります。これはメラミンなどの有機化合物の加熱により比較的容易に得ることができ、また半導体光触媒としての性質を示すことから、水の光分解や水中の汚染物質の分解などの目的で広く研究されています。我々の研究室では、g-C3N4への異種原子のドーピングや層剥離などの処理条件について検討し、有機物質の光分解での触媒特性との関連について研究しています。

4.
その他
 上記のような様々な化学的過程を理解するための理論化学的研究や、作製した材料の特性を評価するための解析方法の研究などにも取り組んでいます。


主な共同研究先等


研究室
・北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 電子材料化学研究室 田地川浩人先生のグループ
・北海道大学触媒科学研究所 物質変換研究部門 福岡淳先生のグループ
・長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯学系 生体材料学分野 阿部薫明先生のグループ
・北海道医療大学歯学部 生体材料工学分野 根津尚史先生のグループ
・北海道大学農学部GG-MS&NMR室 高田祐輔氏

利用施設
・北海道大学全学共同利用施設 光電子分光分析研究室(X線光電子分光装置)
・北海道大学触媒科学研究所(比表面積・細孔構造測定装置など)


研究室紹介動画