宇宙光通信に適した周波数変調型フォトニック結晶レーザーの開発に成功 ―超小型・軽量・高効率な衛星搭載型光送信機の実現に向けて―

　京都大学の井上卓也准教授（大学院工学研究科）と野田進特別教授（高等研究院・大学院工学研究科）らの京都大学グループと株式会社KDDI総合研究所と公立千歳科学技術大学鈴木副学長は共同で、宇宙光通信をはじめとする長距離の自由空間光通信への活用に向けて、高品質な通信を少ない電力で可能にする新たなフォトニック結晶レーザーの開発に成功しました。
　本研究は、１W級の高出力フォトニック結晶レーザーにおいて高い周波数変調効率を実現可能な新たなデバイス構造を考案し、強度変調を抑制した周波数変調方式により、従来のフォトニック結晶レーザーの約2倍の距離である6万km程度の通信が可能になりました。本方式では、送信側に高出力光増幅器を必要としないため、低軌道衛星間並びに低軌道衛星―静止衛星間の高速光通信向け超小型・軽量・高効率な衛星搭載型光送信機の実現が期待されます。今後も、月・地球間向けの大容量深宇宙光通信(38万km)への適用を視野に、さらなる技術開発を進めます。

　本研究の成果は、2025年10月14日に英国科学誌Nature Photonicsのオンライン版にて掲載され、同誌12月号に出版予定です。

＜論文タイトルと著者＞

タイトル：Frequency-modulated high-power photonic-crystal surface-emitting lasers for long-distance coherent free-space optical communications (和訳：長距離コヒーレント自由空間光通信のための周波数変調型高出力フォトニック結晶レーザー)

著 者：Takuya Inoue, Ryohei Morita, Shota Ishimura, Shuei Nakano, Hidenori Takahashi, Takehiro Tsuritani, Menaka De Zoysa, Kenji Ishizaki, Masatoshi Suzuki, and Susumu Noda

掲 載 誌：Nature Photonics
DOI：10.1038/s41566-025-01782-2

（参考）
京都大学プレスリリース　URL：https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20251126
KDDI総合研究所プレスリリース　URL：https://www.kddi-research.jp/newsrelease/2025/112602.html